NSQIPの乳房再建データ抽出で、ChatGPT 4.1のワークフローと人手の精度を比べた論文。
- NSQIPパイロットの105例、9,048データ点を、匿名化したカルテからChatGPT 4.1で抽出し、形成外科医の基準と照合した
- 抽出精度はLLMが99.33%(誤り61件)、人手が98.19%(誤り164件)でp<0.001。術前項目ではLLMがやや低かった
- LLMの誤りで最多は乳房手術歴(29/61件)。概念実証で、多施設での検証が必要とされている
出典:J Am Coll Surg / Large Language Model Data Abstraction Demonstrates Accuracy and Reliability for NSQIP.
サトシ カルテからの転記作業は人間もそこそこ間違えます。まず人間の誤り率を測ってから比べる発想は現場に使えます。
膵癌の治療・診断方針について、GPT-4と多職種腫瘍カンファの推奨を前向きに比べたパイロット研究。
- 2024年9月〜2025年3月に登録した45例のカンファ症例で、臨床データをGPT-4に入力し推奨の一致を評価した
- 全体の一致率は73.3%(κ=0.64)。転移例と術前治療例は90.0%、追加検査が要る例は50.0%で、文献の追加入力で改善しなかった
- 複雑な症例ほど不一致が多かった。著者は個別化や複雑な場面での限界から慎重な導入が必要としている
出典:Langenbecks Arch Surg / Concordance between GPT-4 and a multidisciplinary tumor board in pancreatic cancer: A prospective pilot study.
サトシ 文献を足しても一致率が上がらなかったのが面白い。情報を増やせば賢くなるわけではない。
院内のローカルLLMで診療情報を処理するクリニックについて、ITmediaが報じました。
- 東京都文京区の本郷真砂ハートクリニックは、院長自らMac Studioで環境を構築。過去診療情報の要約と、音声認識によるカルテ作成の補助に使い、処理は院内で完結する
- 医療機関向けにGENSHI AIが提供する構成は、初期費用が約400万円から、保守が月額約30万円から。同社には20件以上の問い合わせがあるという
- 記事はベンダー経由の導入について、医療機器と比べて安いとは言いにくいと指摘している
出典:ITmedia / ローカルLLM利用のクリニックが話題 院長自ら環境を構築 「医療機器より安い」は本当か
サトシ 音声からカルテへの転記が一番の需要、というのは現場の実感に近いです。
遠隔で行うCKD管理サービスの効果を評価したPHTIの報告書について、Fierce Healthcareが報じました。
- PHTIは8つの遠隔CKD管理サービスを評価し、5,400本超の論文などを検討した。対象はステージ3〜5の総医療費に責任を持つ事業者
- 病状進行の抑制に一貫した効果はなく、100万人規模のメディケア・アドバンテージのプランで年50億ドル超の支出に対し、削減は0.1%にとどまった
- 計画的な透析導入は増えるが、対象はCKD患者1,000人に1人。記事によると業界側からは反論が出ている
出典:Fierce Healthcare / PHTI report finds limited impact from virtual kidney care solutions, prompting industry pushback
サトシ 良さそうに見える遠隔サービスも、独立評価で数字が出ると印象が変わります。
急性大動脈解離の画像前トリアージに、LLMを組み込んだAIエージェントを使った多施設の後ろ向き研究。
- 中国3病院の疑い患者869例で内部検証、別の2病院200例で外部検証し、機械学習アンサンブルと比較した
- 機械学習は内部で精度0.948、外部で0.540に低下。エージェントは外部でもGPT-4oで精度0.710、F1 0.803と安定していた
- 症例濃縮デザインで数値が高めに出ており、外部特異度も低い。確定診断には使えず、除外補助にとどまる
出典:iScience / An LLM-enhanced AI agent for rapid diagnosis of acute aortic dissection in multi-center settings.
サトシ 内部で高い精度が外部で崩れる話は毎回出てきます。外部検証を入れているのは評価できます。
MedTech Groupが、訪問診療中に現場でAIへ確認できる「チャットHippo」の新ワークフローを提供開始したという発表。
- AIプラットフォーム「AI Hippo 医療Loop」上で、病名・薬剤・医療用語の確認、ガイドラインの参照と要約、訪問診療記録の補助ができる
- 疑問を帰院後に確認する流れから、現場でAIに確認して判断補助を得る流れに変える位置づけで、判断の不安軽減や診療スピード向上は同社が期待する効果
- 価格や導入施設数の記載はない。電子カルテの改修不要・30日以内の導入は同社の説明で、一部診療科からの導入も可能とされている
出典:MedTechGroup株式会社 / 一人で判断する不安へ。訪問診療中でもすぐ確認できるAI
サトシ 訪問先で一人のとき、調べ物を後回しにできる手段があるのは助かります。効果の数字はこれからです。
zapathが、美容クリニック向けプラットフォーム「ClinicHub」でLINE問い合わせに答えるAIチャット機能を提供開始したという発表。
- 施術内容・料金・ダウンタイム・予約可否に24時間即応する。各院が監修したナレッジの範囲でのみ答え、診断や判断が要る相談はスタッフに引き継ぐ
- ClinicHubの各プランに標準搭載し、AIチャットのみの「シングルプラン」を新設。既存のLINE公式アカウントと電子カルテの運用を変えずに導入できるとしている
- 根拠に挙げる患者調査は自社実施(n=485)で、返信に時間がかかった経験は39.6%。プランの料金は記載されていない
出典:株式会社zapath / zapath、自由診療クリニックのLINE問い合わせに"その場で答える"AIチャット機能を提供開始
サトシ AIが答える範囲を最初から絞る設計は、事故を避ける現実的な線引きだと思います。
クラウドドクターが、外国人材向け求人アプリ「Mintoku Work」との連携で、24時間365日のオンライン診療への導線を開設したという発表。
- アプリ内の「いつでも相談」から、技能実習生や特定技能などの外国人が、そのままクラウドドクターのオンライン診療に進める
- クラウドドクターは86言語のリアルタイム翻訳に対応し、スマートフォン1台で最短3分でつながると説明している
- まずはリンク連携による実証的な取り組みで、利用状況は両社で共有する。利用者数や料金の記載はない
出典:クラウドドクター / 外国人労働者の医療格差を解消の一助へ。外国人材専用求人アプリ『Mintoku Work』が『クラウドドクター』と連携し、24時間365日対応の医療アクセスを提供開始
サトシ 言葉の壁で受診を我慢する外国人労働者の話はよく聞きます。まず入口を作る段階ですね。
JR東日本が古川駅にオンライン診療ブース「LX Doctor」を導入し、10月から運用することについて、日本経済新聞が報じました。
- 内科・耳鼻咽喉科・皮膚科から選び、遠隔地の医師がタブレットで診察する。受け付けから約15分で受診でき、処方箋も発行される
- 東北では初の設置。同社は首都圏を中心に19駅(20ブース)で展開済みで、2031年までに全国500カ所以上へ広げる予定
出典:nikkei.com / JR東日本、古川駅に東北初のオンライン診療ブース 10月から
サトシ 駅で診てもらえる導線は、通院の時間が取れない現役世代に効きそうです。
エス・エム・エスと訪問介護向けAIのENBASE(エンベース)の提携について、日本経済新聞が報じました。
- ENBASEのAIで会話から作った記録を、SMSの介護事業者向けクラウドに反映できるようにする。まず訪問看護ステーションで提供し、順次拡大する
- 記事によると、ENBASEのAIを導入した訪問看護ステーションでは、記録や報告書などの作成時間が50%減ったという
出典:nikkei.com / SMS、AI作成の看護記録をクラウドに反映 エンベースと提携
サトシ 記録の自動化は、入力先とつながって初めて時間が減ります。
Oracle Healthの入院看護師向け臨床AIエージェントの米国での提供開始について、Fierce Healthcareが報じました。
- 電子カルテに組み込まれ、音声によるカルテ内の検索、急性期の看護サマリー、音声での構造化記録に対応する
- 同社は臨床ノートAIが約2年で医師の時間を40万時間超節約したと説明する。看護向けは早期導入施設が記録時間の短縮を挙げるが、記事に数値はない
出典:Fierce Healthcare / Oracle Health extends clinical AI agent to inpatient nurses
サトシ 看護記録の負担は大きいので、勤務後の記録が減るかが実測で見たいところです。
古川俊治デジタル相が就任会見で医療分野のAI活用に言及したことについて、日経クロステックが報じました。
- 医療等情報の利活用を検討する有識者会議について、次世代医療基盤法の改正を視野に、9月中の取りまとめを目指すと説明した
- 法改正が必要な場合、政府は2027年の通常国会への法案提出を目指すとしている
出典:日経xTECH / 古川デジタル相、医師・弁護士経験生かし「人に優しいデジタル社会」目指す
サトシ 医療データの利活用は制度が動かないと進みません。会議の取りまとめ待ちです。